沼名前と書いて「ぬなくま」と読みます。
鞆の浦を代表する神社で、地元の人は「祇園さん」「ぎょんさん」と呼びます。

海の神である大綿津見命(おおわたつみのみこと)を祀る『渡守(わたす)神社』と、日本の三貴神の一人である須佐之男命(すさのおのみこと)を祀り無病息災を祈願する『祇園社』が明治時代に統合され、沼名前神社となりました。海上安全や漁業繁栄、家内安全、病気平癒、学業成就、安産等のご神徳があるといわれています。

沼名前神社では、一年を通してさまざまな祭事が行われます。
毎年2月には一年の平穏無事を祈る「お弓神事」、6月には穢れを祓い清める「茅の輪くぐり」、7月には巨大な松明(たいまつ)を担ぎ石段を登る「お手火神事」、9月には鞆の浦でもっとも大きなお祭りといわれる渡守神社の例祭「おおまつり(秋祭り)」が開催され、町の内から外から人々が訪れ鞆全体が大いに賑わいます。

また神社の境内には、かの豊臣秀吉が将兵らのために造ったといわれる組立式能舞台があります。この能舞台は京都・伏見城が廃城となったとき、二代将軍の徳川秀忠から福山城主の水野勝成に譲り渡され、のち1650年代に鞆の津祇園社(現 沼名前神社)に寄進されました。
当初は分解・移動ができるコンパクトな組立式でしたが、現在はこけら板の葺き、楽屋、鏡の間、橋掛りが常設され、固定されました。昭和28年には国指定重要文化財となり、現在でも能楽祭の舞台として使用されています。
その他、第二鳥居は広島県指定重要文化財、石燈籠・力石は福山市指定重要文化財となっています。


沼名前神社
住所/広島県福山市鞆町後地1225
電話/084-982-2050
http://tomo-gionsan.com