福山城の長屋門を移築したという趣あふれる店舗。一歩足を踏み入れれば、保命酒屋の元祖である中村家から受け継いだ巨大な龍の看板に圧倒されます。1855(安政2)年から清酒業を営んでいた岡本家。明治に入り、岡本家2代目・岡本亀太郎の時代に保命酒業へと転業し現在に至ります。

しかし、伝統を重んじることのみを良しとしないのがこのまちの面白いところ。『岡本亀太郎本店』では、保命酒に紀州南高梅を漬け込んだ「梅太郎」、地元福山の杏の実を漬け込んだ「杏子姫」、高知産ショウガのエキスを加えた「生姜ノ助」などユニークな商品が次々と生み出されています。

『岡本亀太郎本店』が保命酒づくりで一番大事にしているのが、基本となる「みりん(原酒)」の醸造。広島県内にたった3軒しかないみりんの醸造所ですが、そのうちの2軒がここ鞆の浦にあるというのだから驚きです。みりんは甘みや照りを出す調味料と考える人が多いかもしれませんが、岡本亀太郎本店が醸す「純米本仕込本味醂(みりん)」の特徴はなんといっても濃厚な“旨み”。ぜひそのままゴクリと飲んでみてください。かつて甘みのある高級酒として飲まれていたのも納得の美味しさ。時が経つにつれ、瓶の中身が透き通った琥珀色から濃い飴色へと自然に変化していくのも、旨み成分であるアミノ酸を豊富に含んでいる証です。
保命酒やみりんの奥深い歴史や新たな魅力を教わりながら、ショッピングを楽しみたいですね。もちろんお店では、定番から新顔までさまざまな商品の試飲もできます。


岡本亀太郎本店(ミツボシ)
住所/広島県福山市鞆町鞆927-1
電話/084-982-2126
営業時間/9:00~17:00
定休日/無休
http://www.honke-houmeishu.com