鞆の浦から西に4kmほど行った阿伏兎(あぶと)岬に、国の重要文化財にも指定されている『磐台寺(ばんだいじ)観音堂』、通称『阿伏兎観音』が建っています。
1570~1573年に戦国大名の毛利輝元によって創建されたと伝えられており、海に突き出すように積み上げられた石垣の上に朱塗りの観音堂がそびえる姿は、まるで絵巻物を再現したかのよう。かの浮世絵師・歌川広重も、「六十余州名所図会 備後 阿武門観音堂」と題してその雅な光景を描いています。
『阿伏兎観音』の客殿から続く階段廊下を進むと、その先に観音堂が設けられています。お堂の中を覗くと……びっくり。壁一面に、おっぱい!?
実はここ『阿伏兎観音』は、子授け・安産の祈願所として広く信仰を集めており、おっぱい絵馬と呼ばれる子宝・安産祈願の絵馬がずらりと並んでいるのです。このおっぱい絵馬の特徴は、手作りされたものが圧倒的に多いということ。家族を想うあたたかい愛情がいっぱい詰まった観音堂なのです。
観音堂から振り向けば、目の前には真っ青な瀬戸内海。美しい景観に時間を忘れて見とれてしまいます。ただし、ごく狭い回廊の欄干(手すり)は膝ほどまでしかなく、とってもスリリングなのでご覚悟を。
磐台寺観音堂(阿伏兎観音)
住所/広島県福山市沼隈町能登原阿伏兎1427-1
電話/084-987-3862
開門時間/8:00〜17:00(不定休)
拝観料/中学生以上100円、小学生50円