鞆の浦の北の入り口、海岸沿いに建つ風格のある建物。
潮風になびく暖簾をくぐると、ほっと心がなごむ和の空間が広がります。
『衣笠』は、魚の卸業を営む衣笠さん家族が1989年に開いた割烹料理の店。鞆の浦の漁師から直接仕入れた魚をはじめ、近隣で水揚げされた鮮魚を味わえる定食や丼物、丁寧に料理された一品料理が、地元ファンの心を掴んでいます。

旅行客からの人気が高いのは、鯛茶漬けや鯛めしなど、鞆の浦らしい鯛を使った料理。でも、せっかくお店に来たのなら、壁にかかった手書きのメニュー表にも注目を。「しらさ海老(ヨシエビ)塩焼き」「げんちょう(舌平目)煮付け」「こちのお造り」など、地元の魚が地元の呼び名でずらりと並んでいます。その日の仕入れで魚が変わるので、献立に何が登場するのかはお楽しみ。それこそ、鞆の浦のような港町で魚を食べる醍醐味です。

一切れひと切れ丁寧に盛り付けられた厚みのある刺身。上品な柑橘の香りが添えられた煮物。火を入れることで旨みがさらに引き出された焼き物。料理人たちの丁寧な仕事が施されることによって、地魚たちはよりいきいきと、その美味しさを発揮しているかのよう。

和食の基本に忠実ながらも、質素で親しみやすい魚料理が楽しめるのが『衣笠』の人気の理由。ひと皿ひと皿に、卸業を営む“魚屋さん”の、「地元の魚を美味しく食べてほしい」という想いが詰まっています。


季節料理 衣笠
住所/広島県福山市鞆町鞆150-12
電話/084-983-5330
営業時間/11:30〜14:00、18:00〜21:00
定休日/水
駐車場/あり