飾り気ない瓶に、「備後鞆津 十六味保命酒」と刻印されたラベルが粋。
まるで仙人から伝わった聖水のような、秘薬のような……。『保命酒屋』の「十六味保命酒」には、そう想わせるだけの神妙さがあります。

大阪で漢方医を営んでいた中村吉兵衛が、鞆の浦の地で「保命酒」を生み出したのが1659年のこと。その建物が、現『太田家住宅』。広大な敷地には7棟の蔵が建ち並び、保命酒の原料であるもち米や漢方薬などを貯蔵した西蔵、仕込みをした南保命酒蔵、製品を貯蔵した東保命酒蔵など、保命酒の製造施設が完全な形で残っており、1991年には国の重要文化財にも指定されました。
そんな太田家住宅の一部を店舗としているのが、この『保命酒屋』です。
保命酒が生まれたその場所で現代も保命酒を求めることができるとは、どこか感慨深いものがあります。

『保命酒屋』の保命酒には、16種類の草根木皮が独自の配合でブレンドされています。
かつて贈答用として選ばれた保命酒らしく、豆徳利入りの商品もラインアップ。実はこの豆徳利、ご主人の岡本純夫さんが店内でろくろを回して焼き上げたもの。希望の形があれば、オリジナルの豆徳利を造ってもらうことも可能です。鞆の浦の歴史を閉じ込めた特別な贈り物として、おひとついかがですか。


保命酒屋(鞆酒造)
住所/広島県福山市鞆町鞆1013
電話/084-982-2011
営業時間/10:00〜17:00
定休日/無休
http://tomonoura.jp