鞆の浦南部の西町を中心としたエリアには、江戸・明治期から昭和戦前までの伝統的な建造物が284も保存されています。2017年11月28日、この約8.6haの土地が文部科学大臣によって福山市鞆町伝統的建造物群保存地区に選定されました。

鞆の町家は切妻(きりつま)造の平入が基本で、1間半〜2間という狭い間口の建物が多く、隣家同士が外壁を接して建っています。中には外壁を共有している建物も多く、その時代から全国有数の過密都市だったことが分かります。

これらの町家では、通り土間の片側に居室が一列に並んでおり、表側の1室を店(見世)、最奥部を座敷とし、通り土間の奥に突出して台所、その奥に離れ座敷を設け、座敷との間に中庭を設けているのが一般的です。
間口の広い町家では、大正期まで「大戸」と呼ばれる跳ね上げ式の扉を造りつけていました。大正期以降には、出格子が備わった建物も増加しました。

屋根は本瓦葺きが基本。建物を大きく見せるため、表側の屋根を長く備えた造りも多く見られます。2階は江戸時代には既に居室化されているため建ちが高くなっていますが、2階部分を低く造った小規模な建物もあり、軒高が不揃いなのも鞆の町並みの特徴です。

江戸から昭和期にかけて独特の町並みを形成してきた鞆の浦。港町として栄えた歴史を想いながら、町並み散策を楽しんでみてください。


福山市鞆町伝統的建造物群保存地区
住所/福山市鞆町鞆字西町の全域並びに鞆字石井町、字関町、字江之浦、字道越町、字古城跡、後地字古城跡及び字草谷の各一部
電話/084-928-1278(文化振興課)
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/soshiki/bunka/107605.html