「鞆の浦の祭りといえば“お手火(おてび)”」といわれるほど、広く知られる夏の祭事。
毎年7月の第2日曜日の前夜、鞆の町は真っ赤に燃え上がります。

お手火神事は、現在の沼名前神社である祇園宮の祭神・須佐之男命(すさのおのみこと)の神輿渡御(みこしとぎょ)に先立って行われる、旧暦6月4日の祓いの行事。町内の清祓や無病息災を祈願する祭事でもあります。

神木の天木香樹(むろのき)と青竹を縄で縛った大手火(お手火)は長さ4.5m、重さは200kg以上。神火が移され勢いよく燃える三体の大手火を、頭から水をかぶった氏子衆が担ぎ、神社の大石段を上るのです。その威勢のいい姿は、勇者そのもの! 熱く燃え盛る炎に、見る側の心も煽られます。
拝殿前まで大手火が運ばれると、次は神輿を拝殿に納め、盛大な火祭りは深夜まで繰り広げられます。

町民は、燃える三体の大手火から自分の小手火(こてび)に神火を移して、自宅に持ち帰り家を清めます。お手火の夜は、小さく燃える小手火の炎がそこかしこに浮かび上がり、鞆の浦の町全体がほのかに光ります。
その光景を空から眺めれば、夏の蛍が舞っているように見えるかもしれませんね。


お手火神事
会場/沼名前神社
住所/福山市鞆町後地1225
日時/毎年7月第2日曜日の前夜
電話/084-982-2050(沼名前神社)