鞆の浦随一の特産品といえば「保命酒(ほうめいしゅ)」。
全国でも鞆の浦だけで造られる薬味酒で、江戸時代に醸造が開始されました。

その保命酒生誕の地が『太田家住宅』。主家を囲うように保命酒蔵が建ち並び、往時の構えをそのまま残していることから1991年には国の重要文化財に指定されました。
これらの建物群はいずれも、江戸時代中期〜後期に保命酒の醸造を独占した商家・中村家が建てたもの。明治時代に廻船業を営んでいた太田家に継承され、現在の『太田家住宅』として鞆の浦の歴史的町並みのシンボルとなっています。

本宅と道を挟んで建てられた『朝宗亭』は、藩主の滞在にも使われた町家で、海の本陣として使われていました。海に構えられた石垣の上に堂々と建つ姿は、当時の太田家の力の強さを表しているかのよう。これらの敷地は「鞆七卿落遺跡」として、1940年に広島県史跡に指定されています。

太田家住宅の一部は『保命酒屋』として現在も営業しており、保命酒の生まれた場所でお土産選びを楽しむことができます。造り酒屋らしい杉玉の掛かる店先で、歴史に愛された地酒を手に取ってみてください。


太田家住宅(鞆七卿落遺跡)
住所/広島県福山市鞆町鞆842
電話/084-982-3553
開館時間/10:00~17:00(入館は16:30まで)
開館日/土・日・祝のみ ※当面の予定
料金/中学生以上400円、小学生200円