潮待ちの港・鞆の浦が、一年で最も賑わい、盛り上がるとき。それが「秋祭り」の3日間。
秋祭りは『沼名前神社』の摂社である『渡守(わたす)神社』の例祭で、旧暦8月11日から3日間(現在は9月中旬の金土日)に行われ、「おおまつり」と呼ばれています。
渡守神社の祭神・大綿津見命(おおわたつみのみこと)は海路平安を祈願する海の神で、古く万葉の時代から港町として栄えていた鞆の浦の住民にとっては、町の神様でもあったのでしょう。一年間ためこんだパワーを爆発させたかのような活気は、夜更けまで続きます。
旧鞆7町が輪番で当番を務め、1日目は渡守神社から当番町への神輿渡御(とぎょ)、2日目は当番町での御旅所(おたびしょ)祭、3日目は当番町から神社への還御(かんぎょ)祭があります。当番町の各家では番傘をつけた提灯ぐいが立てられ、幔幕(まんまく)を張り、松飾りと絵行燈で飾り付けをして祭りの日を迎えます。
3日目の還御祭が終わると、チョウサイと呼ばれる山車が引き廻され秋祭りは最高潮に達します。太鼓を置き、てっぺんに装飾布団を3枚重ねるので布団太鼓ともいわれます。町ごとに異なる装飾が施され、その豪華さを競い合います。
「サ、ヨーイトナ、チョウサイじゃぁ〜! チョウサイじゃ!」
鞆の町が熱気に満ちる3日間。地元の人に紛れて、祭りを謳歌しましょう。
秋祭り(渡守神社例祭)
会場/渡守神社および当番町(輪番制)
住所/広島県福山市鞆町後地1225(沼名前神社・渡守神社)
日時/9月中旬の金・土・日曜日